イタリア通信

政治・経済から、アート、モード、グルメ、スポーツまで、イタリアの日々の情報を発信

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ゴッドファーザーの世界を生きた男、密かに逝く

Antonino Calderone Antonino Calderone

アントニーノ・カルデローネは、シチリア島カターニア地区の「コーザノストラ」を支配するマフィアの家族の一員として生まれ、当然のようにボスの一人となるべくして育った。そして自分の管轄街区を治めながら、犯罪、殺人 という出来事に直面してゆく。しかし、彼は他の兄弟・親戚たちとは若干異なる資質を備えていたようだ。それは、良心の呵責を感じるというセンシビリティーであった。
それは、ボスとしての自意識を脅かすものであったろうし、また家族と家業という葛藤の間で、彼を大いに苛んだものに違いない。

彼の兄弟ピッポは、まさにゴッドファーザーの映画さながらに、カルデローネ・ファミリー自身の手によって殺害されていた。また、彼の管轄区域にて起こったひとつの事件ー地域社会の秩序を乱したという理由から子供4人が殺害された事件も引き金となって、罪悪感と兄弟を失った哀しみが爆発する。そして彼はマフィアという組織に復讐することを考えた。それは、全てを暴いて正義へと加担するという手段によるものであった。

1987年、フランス・マルセイユに投獄されていたアントニーノは、イタリア警察側とコンタクトする。
現場で直接対応にあたったのは、当時、犯罪捜査局の官吏であったアントニオ・マンガネッリ、現在のイタリア警視総監である。
若きマンガネッリに、結婚はしているのかとアントニーノが尋ねた。「No,」と答えるマンガネッリに、彼は自分の妻と3人の子供達を委ねたいと申し出る。アントニーノの妻はその場に居合わせていたという。「あなたの本当の家族と考えて頂きたい」と頼み家族の安全保障を懇願しつつ、警察への全面協力を提供した。そこにはジョヴァンニ・ファルコーネ判事も同席していた。ファルコーネは、当時パレルモで「コーザノストラ」一掃に向けて、命を懸けていた名判事である。アントニーノファルコーネ判事を「誉高き人」として尊重していたという。
g.falcone
Giovanni Falcone
アントニーノの協力を得たことで、パレルモ警察は、およそ200人以上のマフィア関係者を摘発・逮捕するという偉業を成し遂げることが出来た。

一昔前のマフィア、「地域の長」的なニュアンスを受け継いだ《旧き良き時代》のボスは、その後名前を変え、アイデンティティーを隠して、生まれ故郷から遠く離れた平穏な「何処かの地」で、愛する家族とともに余生をを送り、2013年1月10日に人生の幕を閉じた。享年77歳。
manganelli Antonio Manganelli
アントニーノの訃報を公に発表したのは、他ならぬマンガネッリ警視総監であった。アントニーノとアントニオ ー 自分の家族をマンガネッリに託したあの日から、二人は真の家族として結ばれていったのだ。
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://corriereditalia.blog.fc2.com/tb.php/197-34cfb22b
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

 | ホーム | 

FC2Ad

プロフィール

Espresso Italia

Author:Espresso Italia
イタリア在住16年のジャーナリストが、一般メディア媒体では伝えられることの少ないイタリアを発信

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

未分類 (133)
サッカー (9)
歴史・文化 (20)
アート (8)
モード (7)
スポーツ (3)
フード (18)
映画 (2)
オペラ (3)
ワイン (3)
動物 (3)
ビジネス (1)
政治経済 (13)
社会 (35)
政治 (20)
バイク・カー (1)

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム

イタリア旅行なら:

航空券でもホテルでも;

便利な仮想PC & VPS

VINO!

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

QRコード

QR

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。